通常のアニメ制作の場合、「キャラクター設定集」と同じく、美術にも「美術設定集」なる基本から応用まで様々な角度でしたためた分厚い画集が存在し、美術スタッフはそれを元に各シーンの背景となる絵を作り上げていく。
今回、やたらめったら注目を浴びちゃった超・超・緻密な『東京ゴッドファーザーズ』の背景だけに、さぞや詳細でド分厚い設定集が・・・・・・と思いきや、実は、『東京ゴッドファーザーズ』にはその「美術設定」なるものが、ほとんど存在しない。・・・・・・い、異常なことと思われます。
池「今さんの作品の場合、コンテがかっちり出来上がってるから、それがある程度、設定になっちゃうんですね。だから僕の方で設定を起こす必要があって作ったのは、ハナちゃんが元いたバー「Tower Angel」のところ。あそこを、ざっとこんな感じかなってラフを描いたのと、
それからマリアの部屋。位置関係はこんな感じで、アパートのつくりはこんな感じじゃないですか、って大ラフを出したくらいかな。
それに、今回はぽんぽんぽんぽん場所が移っていくんで、明確に設定が必要なところはそんなになかったんですね。ましてや、街中だし。キャラクターが背景と絡む部分が少なかったから、ある程度のデザインだけ作ってもらえば、あとはそれにちょっと色づけしてやればいいって感じだったので」
・・・・・・“だけ”とか“ちょっと”とか、軽ーく言ってのけられる池氏ですが、普通は監督のこの要求度の高いコンテを見ただけで、涙が出るものと思われます、たぶん。
池「一番初めの打ち合わせでコンテを見せられた時、監督に『背景はご覧の通り、大変だよ』と。確かに作業は決して楽じゃないな、とは思いましたけど。ビルも一杯あるし(笑)。しかもコンテでもあれだけ描きこんであるんだから、描かないわけにいかない。でも、面白そうだな、と」
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