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タイトル・イントロダクション

写真  チベット語で「青い山々」、モンゴル語で「美しい娘」を意味するココシリ。海抜4700メートルの山肌に、神聖なほど美しく、想像を絶するほど過酷な大自然が広がっているこの無人地帯は、人が神に最も近づくことのできる中国最後の秘境として知られている。そんなココシリの山中で、チベットカモシカの密猟者との戦いに、命を懸ける男たちがいた。最高級毛織物「シャトゥーシュ」の元になるチベットカモシカが、密猟者の乱獲によって激減する事態を憂い、民間のマウンテン・パトロールを結成した隊員たちだ。無償で隊に志願した彼らは、神が祖先に与え、祖先が自分たちに残してくれたこの自然を、次の世代にも引き継いでいきたいという熱い思いを胸に、死と背中あわせの危険な任務に挑む。この映画は、そんな男たちが繰り広げる壮絶な戦いを、180日におよぶ現地ロケという圧倒的なスケールにのせ、ダイナミックかつスリリングに描き上げた真実のドラマの映画化だ。

 監督は、紛失した拳銃の行方を追う警官の焦燥と苦悩を描いたデビュー作の『ミッシング・ガン』で、若い才能を高く評価されたルー・チューアン。「マウンテン・パトロールの初代と二代目の隊長が、パトロール中に命を落としたのを知り、彼らがなぜ無償でそこまでするのかを理解するために、自分はこの映画を作った」と語る彼は、気温は零下20℃、空気の薄さは北京の1/3という、およそ映画作りには適さない環境のなかで、高山病との格闘を強いられながら撮影を決行。マウンテン・パトロールの男たちが、命を捧げてまで守り抜こうとした自然の偉大さと厳しさ、そして、その自然と一体化して生きるチベット族の真に誇り高い生き様を、ショットのひとつひとつに封じ込める驚異の映像を作り上げた。 

 その未知なる映像体験に加え、見る者の心を熱く揺り動かすのが、真実のドラマの迫力だ。物語の語り部となるのは、マウンテン・パトロール隊員の射殺事件を取材するために現地へやって来た都会育ちの記者。密猟者を追うマウンテン・パトロールの旅に同行することになった彼と、同じ目線でココシリの奥深くへ分け入っていく観客は、一度に500頭以上のチベットカモシカが犠牲になる密猟の凄惨な実態を知ると同時に、生活のために密猟に手を貸さざるをえなくなった農民たちの厳しい現実をも知ることになる。「草原が砂漠になり、放牧ができなくなったので、仕方なくこんなことをしている」――1頭5元の報酬で密猟者に雇われた毛皮加工職人の老人が、木訥とした口調で語るセリフの重み。対するマウンテン・パトロールの隊員たちもまた、餓死と凍死の危機にさらされながら、執念のみを原動力に、不眠不休で密猟の主犯を追跡するという苦行を強いられる。自然を守る側にも、自然を奪う側にも、平等に与えられた凄絶な生の試練。それを真正面から見据えた本作は、第17回東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞。さらに、台湾金馬奨の作品賞と撮影賞、中国の華表奨の劇映画賞を受賞するなど、アジア各国で絶賛の嵐を巻き起こしている。

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山岳隊の・・・

 カリスマ性たっぷりのマウンテン・パトロールのリーダー、リータイを演じるのは、チベットを代表する演技派スター、デュオ・ブジエ。チベットカモシカに対しても、密猟者の側についた農民に対しても、敬意を持って接するリータイの共生の哲学が、ごく自然に滲み出る彼の演技は、ドラマの感動の要だ。そのリータイと行動を共にする記者のガイには、中国国立劇団出身のチャン・レイが扮し、17日間の旅を通じてサバイバルとは何かを学んでいくガイが、劇的な変貌を遂げていく様を熱演する。その他のキャストは、ほとんどの者が映画は初出演。しかし、「良い映画のためなら辛い思いをする価値がある」を合い言葉に結束した彼らは、零下3℃の気温の中、下着姿で川を渡る場面を、点滴を打ちながら乗り切るという、不屈の闘志で撮影に挑戦。ココシリの自然を守る闘いに人生を捧げたマウンテン・パトロールの隊員たちの魂が、まるで乗り移ったかのような気迫のこもった演技を披露している。

 映画の最後で私たちが知ることになるのは、ガイの書いた記事が反響を呼び、ココシリに国家級自然保護区管理局が設立されたという事実だ。その結果、2万頭を割り込んでいたチベットカモシカの数は5万頭まで回復し、2005年からはチベットカモシカを保護するボランティア活動も始まったという。リータイたちが命懸けで守ろうとしたものは、確実にいまに引き継がれている。究極の希望のメッセージが、ここにあるのだ。

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