全世界が待ちに待ったスパイダーマンがついにスクリーンに帰ってきた。前2作をはるかに超えるパワーと感動を携えて、スパイダーマンの活躍を圧巻の映像に描ききる。第1作でスパイダーマンとして生きる運命が示され、第2作ではヒーローであることの苦悩を体験したピーター・パーカーだったが、ここではさらなる人間的試練を体験し、ヒーローとしてのモラルが問われることになる。MJとの心のすれ違い、叔父を殺した人間への復讐心。液状生命体によるブラックスパイダーマンへの変貌や父の復讐に燃えるハリー(ニュー・ゴブリン)との確執。加えて、因縁の敵サンドマンと最強の敵ヴェノムが登場するに及んで、まさに疾風怒濤のクライマックスに突入していく。シリーズを成功に導いた監督、サム・ライミが兄アイヴァン・ライミともに練りこんだストーリーをもとに、『普通の人々』と『ジュリア』でアカデミー脚色賞に輝いたアルヴィン・サージャントがドラマチックでメリハリの利いた脚本に仕上げ、これを得たライミは文句のつけようがない演出を披露してくれる。スピーディでひとときも観客をあきさせない語り口のなかに、スリルとサスペンスを随所に織り込みつつ、ユーモアを散りばめ、その上で胸に沁みる感動を用意する。ヒーローがヒーローであるための資質を問いかけ、試練を乗り越えるピーター・パーカーの人間的成長を高らかに謳いあげる。もちろんVFX、CGを存分に導入し、これまでみたこともない驚きの映像が次々と映し出される。これぞアメリカン・エンターテインメントの頂点といいたくなる仕上がりだ。
シリーズの成功はピーター・パーカーを演じたトビー・マグワイアに負うところが大きい。どこまでも純粋なまま成長したキャラクターにぴったりの容姿をもつマグワイアは、ピーターの精神的成長を際立った演技力で表現してきたが、この作品が集大成。今まで底抜けに純真だったピーターが初めて精神の“暗黒面”をみせる設定にチャレンジしている。女性にいいより、踊りまくる。ブラックでクールなマグワイアが捨てがたい味わいなのだ。もちろんMJ役のキルスティン・ダンストはここでもフェミニンな魅力を全開させる。スタンダードナンバーをさらりと歌いこなし、女性の心を分からないピーターにいらだちを隠せないMJの心情を浮き彫りにする。『マリー・アントワネット』で日本での人気を確固たるものにしたダンストだが、この共感度の高いキャラクターがぴったりとはまっている。また、かつてピーターの親友でありながら、父を殺したと思い込み復讐をしかけるハリー役のジェームズ・フランコは、今回、心の両面を表現する設定を与えられて、その演技者としての高い資質を発揮している。さらに、『サイドウェイ』で一躍注目俳優となったトーマス・ヘイデン・チャーチが宿敵サンドマンを演じて奥行きのある演技をみせれば、テレビで人気を高め、『ルイーズに訪れた恋は…』などで注目されているトファー・グレイスがヴェノムに挑戦。この他『ヴィレッジ』などで将来を嘱望されているブライス・ダラス・ハワードまで、ライミの意図が十分に活かされているというが、まことに充実の布陣である。
冷たい雨が降る4月16日の東京に、ひときわ熱い旋風が巻き起こった。 全世界に先駆けて『スパイダーマン3』のワールド・プレミアが東京・六本木で開催されたのだ。 初めて作品が上映され、トビー・マグワイア、キルスティン・ダンストを中心にジェームズ・フランコ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、トファー・グレイスをはじめとする主要キャスト、監督サム・ライミ、プロデューサー各氏が来日するとあって、世界各地からマスコミが続々と結集。会場となった六本木ヒルズは雨にもかかわらず、レッドカーペットにはテレビカメラが居並び、取材者が少しでもいい場所を確保しようとの攻防が繰り広げられている。 やがて、レッドカーペット前特設会場ではクリス・ペプラーとマリエが司会するなか、マグワイアとダンストが揃って登場。集まったファンの歓声のなか気さくに応えるふたりに好感度が倍増。ファンたちも心よりの拍手を送ってみせた。 レッドカーペットでは主要キャスト、監督がマスコミの質問に応え、琴欧州や松雪泰子、ほしのあき、小堺一機、加藤あい、土屋アンナなど日本のセレブリティたちは作品の期待を次々と口にする。プレミアに参加した2000人におよぶ観客の期待が、否が応でも高まるなか、六本木・TOHOシネマズの9つのスクリーンを使った上映が始まった――。 終了後、作品のすばらしい余韻が覚めやらぬまま、六本木ヒルズの森タワー52階東京シティビューにてパーティが開催された。「スパイダーマン展」が開催されている会場には『スパイダーマン3』で使用された衣装、あるいはストーリーボード、デッサン画などが飾られている。作品の魅力の秘密が惜しげもなく披露されるなか、DJブースからはノリのいい音楽が会場を包み込む。外をみれば、52階からの雨に煙る東京がくっきりと浮かび上がる。あまりに会場が大きいため、どこにキャスト、出演者がいるのか分からないまま、パーティは華やかに進んでいく。食事から雰囲気まで、日本の粋を集めた、ゴージャスにしてスタイリッシュなパーティ。キャストもスタッフも大いに満足して帰ったとコメントしたのも頷ける。